水通しは本当に必要?

洋裁の本にはよく下準備として、生地は水通しして地直ししておきましょう、と記載されています。
ハンドメイド品を販売するならなおさら水通しは必要?
ちょっと待って!水通しはとても手間のかかる工程です。本当に必要なのか慎重に検討しましょう。

水通しの意義とメリット

  • 生地の縮み防止

 綿、麻などの素材は水分を含むと縮みます。この収縮分を考慮せずに作ってしまうと洗濯したときに縮んでしまう可能性があるため、あらかじめ水通しによって縮ませておくことで完成後の収縮を最小限におさえます

  • 色落ち防止

 余分な染料を落とすことで洗濯時の色移りを防ぎます。

  • のりや化学物質を落とす

 ベビーアイテムは肌が敏感な赤ちゃんのため事前にのりを落とすことが薦められています。

水通しのデメリット

  • コストがかかる 

 生地を水に数時間浸し、しわにならないように水分を切り、半乾きになるまで干し、アイロンで縦と横の字の目を整えるという時間と手間がかかること。

  • 素材が劣化する 

 摩擦による表面の毛羽立ち、はりがなくなるなどくたびれた感が出てしまうことがあります。

水通しの必要性を検討するポイント

  • 素材の特性、状態

そもそも水につけられる生地か、縮みやすい生地か、色落ちしそうな生地か、地の目は整っているかを確認しましょう。水通ししたところであまり変化がないのであれば必ずしも水通しする必要性はありません。仕入れた生地屋さんの商品説明に収縮率、洗濯について記載があれば参考にしましょう。

  • 作ろうとしているアイテムは何か

洗濯を前提にしないアイテムやポーチ、バッグ、布小物など収縮してもサイズに大きな変化はないアイテムは水通しの必要性は低いです。

完成後の縮み、変形対策

  • 生地の一部を使ってテストし型紙作りやアイロンで調整する

生地にあらかじめ50cm程度の距離で印をつけておきスチームアイロンで蒸気と熱を加えます。
アイロンは浮かせるようにしてガンガンスチームを当てましょう。

しばし放置した後どれくらい収縮したか確認します。収縮率が高そうであれば水通しも試して前後の変化を調べてもよいでしょう。
やり方を動画にしました↓

こうしてどれぐらい縮むのかをあらかじめ把握しておき、対策を考えましょう。
具体的には以下のような対策が考えられます。

  • 型紙を収縮分を見込んだものに修正
  • 生地にスチームを当てて収縮させてから裁断
  • 芯貼りは粗裁ちして接着してから型紙通りに裁断する

臨機応変に対応しましょう。

  • 裁断時にパーツの置き方を工夫する

これは縮み対策ではありませんが、アイロンで曲がった地の目を直す、いわゆる地直しの代替策です。生地の地の目は耳(生地の端)が曲がっていることが多いです。

これを完璧に整えるのは現実的ではありません。
服であれば前後中心は耳側でとらない、見返しなど外から見えない部分を耳側でとるなどの工夫をしましょう。

まとめ

水通しはコストがかかります。
代替策を組み合わせることで仕上がりをコントロールしやすくなります。
何のために水通しをするのかという目的から、見合う効果が得られるか検証して判断しましょう。

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ふしじむ
縫製、裁断、工業用型紙作り、生産管理経験のハンドメイド作家です。 オンラインソーイングスクールで作家さんをサポート。 裁断から縫いまでものづくりのコツを発信します。